ムーディー(Moody)によるドイツ銀行の格付け切り下げ 2016年5月24日
“Moody’s Downgrades Deutsche Bank; Now Two Steps From
Junk – Another Lehman Crisis to Hit the World?”
Tuesday, May 24, 2016 1:09
ムーディーによるドイツ銀行の格付け切り下げは、ジャンククラスからわずかに2段階上。リーマンショックの再来か?
ヴェネズエラでは人々は文字通り飢えているが、もしもドイツ銀行が破たんしたら、飢餓がヨーロッパ、アメリカを襲うだろう。ムーディーの投資家サービスは今日、ドイツ銀行と関係企業の格付けを切り下げた。これらの切り下げには以下の事項が含まれる。:
○ この銀行の長期預金格付けをA3からA2に
○ 担保なし債権の格付けをBaa1からBaa2に
○ スタンドアローン・ベースライン・クレジット・アセスメントをbaa3からba1へ
○ 相手方リスク評価をA2からA3に
○ ドイツ銀行の短期格付けと短期相手方リスク評価をプライム1からプライム2に
今日の格付けの切り下げはドイツ銀行の運営に問題を投げかけ、その戦略プランの達成を困難にする。
下記のチャートはリーマンショック前のS&Pによるリーマンの格付けの推移と、ドイツ銀行のムーディーによる格付けの推移を比較したものであり、非常に類似していることが分かる。
リーマンは2008年の4月から5月初めにかけて大きく格付けを下げられた。9月の第一週までには、リーマンの格付けの低下が大きい金融危機のきっかけになった。リーマンの崩壊は金融システム全体に大きいマイナス効果を及ぼし、あらゆることに影響した。リーマンのケースはドイツ銀行のケースと比較して、まだまだ”小さい変化”に過ぎないのだ。
多くの金融関係者が恐れていることだが、もしもドイツ銀行が破たんすれは、その影響はリーマンの崩壊をさながら快晴の夏の日、のように思わせるだろう。ドイツ銀行は巨大なのである。そしてドイツ銀行はデリバティブ市場の指導的立場に位置していて、ほとんどすべての金融機関と取引をしている。ドイツ銀行はクレジットデフォールト・スワップを売り買いしていて、これはほかの金融機関の保険のような作用をする。もしもドイツ銀行が破たんすれば、これらすべての”保護”が消失し、世界全体が金融危機に突入する。
問題は、ドイツ銀行が救済するには大きすぎることだ。世界中のどの機関も十分な救済資金を供給できない。だからもしもドイツ銀行が破たんしたら、そしてますますその可能性は高くなってきているのだが、西側銀行、金融システムの終焉は数時間以内に現実のものになるだろう。
これがどの様にして起きるのかは簡単なことである。金融機関はプロジェクトに関する投機的な借款に手を出していて、担保価値が小さい債権に対してお金を貸している。彼らはまた担保価値が低い債権で借り入れをしている債務者に対する他の銀行が起こしたローンの保険としてクレジットデフォールトスワップを行っている。これらの多くは今ますます悪化の一途をたどっている。ローンが次々と不良債権化するとドイツ銀行の帳簿のバランスも悪化の一途をたどる。預金は銀行にとっては債務だと考えられている。資産の内容が悪化するにつれて、銀行が保有する裏付け資産も減少してくる。これはナンバーズゲームのようなものだが、ナンバーズは嘘をつかない。
もしもドイツ銀行が破たんしたらどうなるだろうか?世界中で信用の供与は中止されるだろう。現金は銀行から供給されなくなる。まだ細々と続いている国際貿易も実質的に停止されるだろう。数多くの銀行、保険会社、信用組合、そのほかの金融機関も破たんするだろう。国家経済も破たんするだろう。食品や燃料などのサプライチェ-ンは途切れるだろう。店の棚は空になるだろう。食料は不足し、食料暴動が起きるだろう。
Translator:
Taki Chino
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